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実録!給食の先生奮闘記 ~もう中堅なんだから~前編

みなさんこんにちは。松本盲学校、管理栄養士の「にしざわ先生」(中堅職員)です。

みなさんは長野県職員に”管理栄養士”がいることをご存知ですか?
管理栄養士は、給食献立の作成・栄養管理・食育・健康増進に係わる業務などを行います。
長野県職員の管理栄養士の配属先としては、県庁の健康福祉部教育委員会のほか、特別支援学校保健福祉事務所リハビリテーションセンターに勤務することがあります 。
今回はみなさんに特別支援学校の給食の先生の日常をお送りします。

ここ松本盲学校は、長野県立の特別支援学校の1つであり、視覚に障がいのある児童生徒が通う特別支援学校です。さらに松本養護学校の分教室の生徒たちも同じ校舎で学んでいます。
幼児から高校生、その他に針灸やあん摩などの専門技術を学べる学科もあるため、児童生徒の年齢層は3歳から40歳代と幅広いのが特徴です。もちろんみなさん給食が大好き!いつも楽しみにしていただいています。
さっそく見ていきましょう。

8:00

さて、この日も元気に出勤して参りました。爽やかな晴天・・・とはいきませんでしたが、暑さが増してきているこの時期にしては過ごしやすい1日になりそうです。
始業は8時30分ですが、毎日の出勤はだいたいこのくらいの時間になることが多いです。少し早いのはなぜなのか。
そう、朝ごはんを食べるためです。

試食用の朝ごはん

本校には児童生徒が寝泊まりするための寄宿舎があり、朝食と夕食も毎食提供されています。食事の際には見本として1食分展示をするのですが、その見本を管理栄養士が試食します。当然、児童生徒たちはすでに食べ終わっていますが、自分が立てた献立料理の味を確認することも立派な仕事なのです。うん、今日も美味しい。

8:30

朝会が始まる時間になり、職員室へ。

職員室の様子

朝会は児童生徒の出欠、連絡事項、教頭先生・校長先生のお話という流れ。
必要があれば、管理栄養士もここで先生たちに連絡をします。

“給食参観の締め切りが明日ですので、申込書は明日中にお願いします。”
“今日の給食のみかんが、急遽オレンジ に変更になりました。”(食材が手に入らないときはなるべく同じような食材に替えます)
“食堂内に虫の侵入がありましたので、窓や扉の開閉にご注意ください。” 

などなど
何も無ければ特に連絡は無し。平和が一番です。

8:45

朝会が終わったら通常勤務開始。いつも居るのはこの部屋、栄養士室という専用の準備室です。

自席

なんといっても厨房と隣接しているため、調理員さんたちと常に連絡をとりあえるのが最大のメリット。ガラス越しに厨房の中の様子が分かるのも安心。何かトラブルがあってもすぐに対応できます。
デメリットは、プリンターが無いこと。献立表などを印刷するときに不便を感じます。

自席から見た厨房の様子

「さて・・・今日もがんばろう。」そうつぶやいて作業を開始します。

10:00

管理栄養士の仕事の1つである給食管理、その中身は様々です。その中でも重要であり欠かせない業務があります。それは食材の発注です。

給食の献立や食材のデータはすべてPC内の専用システムに記録されていて、食材の発注データから発注書が自動で作成されます。過去のデータを参照することができ、効率的でとても便利です。

この日発注するのは、再来週分の給食の材料です。この期間中に欠席する予定が分かっている児童生徒の分は、あらかじめ発注量から抜くことができます。
食材発注の流れを簡単に説明しましょう。

1.期間中の各日の食数(食べる人の人数)を確定させる。
2.調理業務指示書を作成する。
3.発注書と検収表を作成する。
4. 発注書を各食材業者へFAXする。

この作業を毎週行い、食材の発注を行います。漏れがあったら大変なので、セルフチェックは厳重に。さらに現在の在庫状況も把握しながら本当に必要な発注量を見極めます。
このような作業もお手のものです。もう中堅ですから。新人の頃は、慣れない業務ばかりでてんやわんやしながらなんとかこなすだけになってしまっていましたが、今では初めての業務でも効率の良い方法を模索しながら遂行しています
そしてこの発注作業、食材の 量や種類も多く、集中して作業しているとあっという間に時間が経っていることがよくあります。

11:00

この時間からは調理員さんたちとの打合せが始まります。ここでは、翌日の給食(昼食)から翌々日の朝食までの作業内容の確認を行います。

打合せの様子

ここは調理員さんたちが着替えや休憩をする部屋です。
打合せの内容は、主に食材の切り方や調理工程などについて。ここでしっかり打合せをしておかないと、給食の仕上がりに影響が出てしまいます。

調理員さん「この野菜の切り方はどうしますか?」
にしざわ「かなり細かくみじん切りにしてください。」

調理員さん「魚の焼き時間はどうしますか?」
にしざわ「210℃で13分焼いてください。スチームは20%で。」

調理員さん「フルーツヨーグルトのフルーツ缶の汁はどうしますか?」
にしざわ「アガー(凝固剤のひとつ) で固めてカットして、フルーツと一緒にヨーグルトに入れましょう。」

にしざわ「これでバッチリです。よろしくお願いします。」

ここのセリフは標準語で書いてありますが、普段の調理員さんとの会話は、ほぼ10割が方言で行われています。方言は最強のコミュニケーションツールです。

大事なのは、管理栄養士のこだわりや理想と、調理現場の現状とのバランスをとること
ただ、このあたりの塩梅は管理栄養士によって結構差があるかもしれません。にしざわの場合は、取り入れたい新メニューがある時などはこの時間に調理員さんに相談します。来月も新メニューを予定しています。今から楽しみです。

11:20

打ち合わせが終わり、給食が始まるまで時間があるので、細々した作業をしていくことに。その中でも欠かせないのがこれ!

メニューボード

その日の献立を紹介するホワイトボードです!いつもかっこよく書きたいと思ってはいるのですが、う~ん・・・なかなか難しい・・・。

11:50

そろそろ給食が出来上がる時間になりました。ここで満を持して厨房へ入ります。厨房内では最後の仕上げに取り掛かる様子です。

チキンバーガーのお肉

おいしそう~~
ここでは料理の出来栄えや異物混入が無いかを確認したり、味のチェックをします。
気になるこの日のメニューはこちら。

  • てりやきチキンバーガー

  • ジュリエンヌスープ

  • ツナサラダ

  • すいか

  • 牛乳

先ほど、ホワイトボードに書いてありましたね。
にしざわが、ひとつひとつ味見をしていきます。

味見の様子

スープ パクッ
にしざわ「これでOKです。」
調理員さん「ハーイ」

サラダ パクッ
にしざわ「いいですね。これでいきましょう。」
調理員さん「ハーイ」

チキン パクッ
にしざわ「んん~おいしぃ~~これ・・。(小声)」
調理員さん「ハーイ」

といった具合に味見をして問題なければ調理員さんにゴーサインを出し、提供までノンストップです。出来上がりがこちら。

昼食の出来上がり

みなさんいかがですか?なんとも懐かしい感じがしませんか?
ドリンクが牛乳というところが、より一層給食らしい雰囲気を醸し出しています。もちろん児童生徒たちは大喜び。

子どもたちの様子

「にしざわ先生~すごくおいしい!」
「あと100個食べたい!」
「また作ってください!」
「先生、レシピいただけません?今夜さっそく作ります。」

先生たちも大喜び。レシピ、すぐ出せます。

給食というと、教室で食べるイメージかもしれませんが、本校ではこのように食堂に集まって給食を食べています。みんなとても楽しそうです。

通常の日なら、このように給食の提供が済めば、1日の業務は一段落です。通常の日なら。
みなさんに今まで内緒にしていましたが、この日は年に1回(か2回)のある行事の日・・・。まだまだ一息つけそうにありません。にしざわ先生の奮闘はさらに続きます。

次回後編!給食参観編へつづく

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