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子ども・家族を支える 児童相談所 里親担当の業務

はじめに

こんにちは。児童福祉司1年目のJです。社会福祉士精神保健福祉士の資格を有し、児童相談所で勤務しています。福祉職は、本庁や児童自立支援施設など、児童相談所以外でも活躍の場があります。

さて、突然ですが、児童相談所と聞くと、どんなイメージを持ちますか?
みなさんが抱くイメージは様々だと思います。昨今、児童虐待に関する報道も多く、それに伴って児童虐待への認知度も高まっているため、注目されている機関でもあります。
そこで、今回は児童相談所について簡単に説明し、里親担当として勤務している私の業務内容についてご紹介します。

児童相談所について

児童相談所とは

児童相談所は、子どもに関する相談に応じ、個々の子どもや家庭に適切な支援を行い、子どもの福祉を図り、権利を擁護することを目的として設置されている行政機関です。長野県内には5か所の児童相談所があります。児童相談所には、相談機能一時保護機能措置機能(家庭事情等必要に応じて、子どもを児童福祉施設等に入所させたり、里親に委託したりすること)など様々な機能がありますが、措置機関としての機能に加え、フォスタリング機関(後述)としての機能もあります。

職場の近くの景色(筆者撮影)晴れていると特に景色がきれいです。

福祉職を目指した理由

ここで、そもそも、なぜ私は福祉職を目指したのか、ということについて触れたいと思います。
私は高校時代、宇宙や感染症などに興味があり、将来は研究者か医療関係者になろうと考えていました。しかし、大学進学にあたり、改めて進路を考える中で、親族に障がいのある人がいたことや介護の仕事をしている人がいたことに影響を受け、福祉関係の仕事にも関心を持つようになりました。さらに、AIなどの技術が進んでも、人間にしかできない仕事をしたいという強い思いもありました。
福祉の仕事と言っても様々な選択肢がありますが、行政機関の福祉職を選んだのは、措置権限を有していることが理由です。児童相談所の場合、一時保護や里親委託などの措置をすることがあります。当事者(児童相談所としては児童)のために適切な措置を行い、最善の利益につながるための支援に、最前線で携わりたいという思いがありました。
現在は児童相談所で勤務していますが、学生時代にうかがった実習先は、就労継続支援B型事業所と精神科クリニックのデイケアだったので、入庁するまで児童福祉に関わる機会はほとんどありませんでした。
ただ、児童虐待は非常に深刻な問題であり、児童虐待が発生する家庭には、虐待以外の課題(孤立、貧困、保護者の精神障がいなど)もあるのではないか、と考えていました。さらに、精神保健福祉領域の勉強に力を入れていたので、メンタルヘルスやトラウマについても関心があり、児童相談所に配属され、児童福祉司として勤務しています。

担当業務について

フォスタリング機関とは

児童相談所の説明で、フォスタリング機関という言葉を使いましたが、みなさんはフォスタリング機関を知っていますか?

フォスタリング機関とは
里親制度の広報啓発から、里親になりたいという人に対する支援、里親登録前と登録後の研修の対応、子どもを迎え入れる際の調整、子どもを委託している間の支援、委託解除後のアフターフォローなどを包括的に行う機関のこと

県内5か所ある児童相談所がフォスタリング機関としての役割を担っています。
平成28年の児童福祉法改正により、「家庭養育優先の原則」が明記されたことから、家庭養育推進に向け、フォスタリング機関として様々な支援を実施しています。
子どもたちが健康に発達していくためには、特定の大人(養育者)と信頼のおける愛着関係を形成、維持して安心感を得ながら暮らすことが求められており、里親委託は大切な役割を担っています。

担当業務

私が現在担当しているのは、このフォスタリング業務(里親登録業務、里親養育支援、里親広報啓発)です。主な業務内容は以下の図のとおりです。

仕事の進め方

仕事の進め方

採用1年目は、児童相談所全体の業務を知ること、自身が所属する係の業務を知ることから始まります。いきなり里親委託を必要としている児童と主に関わるわけではありませんので、経験豊富な職員とともに、実際の事案に関わりながら業務を進めていきます(家庭訪問への同行、面接同席など)。

研修

児童福祉司任用前研修、児童福祉司任用後研修などの研修を受講し、知識や技術を学びながら業務を行います。これらの研修に加え、里親担当としてフォスタリング業務に関する研修なども受講しました。
研修では、業務に関する勉強ができるだけでなく、関係機関の職員とも情報交換する機会もあり、視野を広げることができる貴重な経験となります。

仕事で悩んだ時、困った時

仕事で悩んだ時、困った時は、法律やマニュアルを確認して参考にしたり、他の職員に相談したりします。経験豊富な職員が在籍しているので、同じ係の職員はもちろん、係の枠を超えて相談することもできます。
里親希望者に対して、社会的養護や里親制度について、どのように説明したら理解してもらえるか、ということは毎回悩むところです。
支援を必要としている人の人生を大きく左右するような決断もありますので、一人で抱え込まず、小さなことであっても、まずは上司に相談するよう心がけています。

ある1日のスケジュール

定例の会議や係会など以外は、先方(里親さんや関係機関など)と調整して予定を決めることがほとんどですが、緊急対応で急に予定が入る場合もあります。

勤務時間は8:30~17:15(休憩12:00~13:00)ですが、出張により帰りが定時を過ぎる場合は、あらかじめ申請し、時差勤務をするようにしています。

まとめ

児童相談所の里親担当として、親と子を分離させなければならないケースもある中で、新たな家族をつくるという仕事は非常にやりがいがあり、尊いことであると日々実感しています。特に低年齢の児童の家庭訪問を定期的にしていると、著しい成長に驚くことが多いです。里親委託した児童の成長を、里親さんとともに見守ることができるのは、他の仕事ではまずありえないと思いますし、貴重な経験だと思います。
この記事をとおして、私の業務について知っていただくとともに、福祉職として長野県庁を目指す方々の背中を押せたら幸いです。

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